ぶゆうでんを、きいてほしい。
こんにちは、ゆきんこです。
いわしがサワラに、自慢をしたいようです。
いわし「えっへん。サワラ姐さん、きいてください。ぼくは、すごいことをしました。」
サワラ「私はストーブで暖まっているのよ。邪魔しないで」
いわし「きかないなら、てれびのまわりを、うろうろするあそびをする。」
サワラ「あっ、『東京タラレバ娘』をやってるじゃない。自動餌やり湯たんぽ、いつ付けたの?録画は一緒に見ようって約束したじゃない。裏切ったわね。バカ」
私「すいません、適当にテレビを付けていたら、リアルタイムで流れてしまっていました。坂口健太郎さんは、まだ出ていませんよ。安心して下さい」
いわし「このいえのひとは、みんな、ぼくのぶゆうでんを、きいてくれないみたいだ。みなさん、ぼくは、じゃまものあつかいされています。」
私「その『皆さん』って、誰に向かって言っているんですか?いわしさん、私はいわしさんのお話を、ちゃんと聞いていますよ」
サワラ「私も、健太郎くんに嫌われたくないから、話を聞くわよ」
いわし「では、はっぴょうします。じゃじゃーん。なんとぼくは、はじめて、しゃんぷーをしました。」
サワラ「嘘でしょ…?シャンプーって、猫用の拷問だって聞いたことがあるわ。シャワーとかいう拷問器具で、すごい圧のお湯をかけられて、泡まみれにされて、出てきたら、ドライヤーとかいう秘密兵器で熱風を浴びせられるのよね」
私「猫からすると、そんな風に思うんですね。シャワーは気持ちがいいし、ドライヤーは便利です」
いわし「しゃわーとかいうごうもんきぐは、しらない。あわまみれは、がまんした。でも…きたちょうせんの、ひみつへいきの、どらいやーが、むりだった。」
サワラ「えっ、あれ北朝鮮の秘密兵器だったの?すごく怖いわ、私は絶対嫌よ」
私「北朝鮮じゃありませんよ。これは…パナソニック製で…タイで作られたと書いてありますね」
サワラ「タイも秘密兵器を作っていたのね。ビックリだわ。でも、アンタよく我慢したわね」
いわし「あっ、ちょっといま、ぷらいべーとなので、さつえいは、えぬじーでおねがいします。」
私「いわしさんは24時間プライベートじゃないですか。あと、ドライヤーは秘密兵器ではありません。あまりにも嫌がるから、ある程度乾かして、あとはタオルで拭きまくって、ストーブの前で自然乾燥してもらったんですよね」
サワラ「ふぅん。でも、アンタにしては頑張ったじゃない」
いわし「そのあとしばらく、おかあさんに、つめたいたいどをとってしまった。おかあさんは、かなしんでいた。ぼくは、はんこうきだろうか。」
サワラ「拷問を受けたって事は、アンタが悪いことをしたからよ。ごめんなさいって、自動餌やり湯たんぽにちゃんと謝りなさい」
私「いやいや、シャンプーは拷問用ではありませんし、いわしは悪いことをしていませんよ。…いや、イタズラはするんですけど、だからって拷問なんかするわけないじゃないですか」
いわし「ああ。ぼくは、なんてことをしてしまったんだろうか。おかあさんに、はんこうてきなたいどをとって、かなしませてしまった。みなさん、いわしは、わるいこです。」
私「いわしさん、それは何かの台本を読んでいますね?あと、私は怒っていませんよ。シャンプーやドライヤーが下手でごめんなさい。いわしは、人懐こくて、爪も切らせてくれて、自慢の子ですよ」
サワラ「…ねぇ、私の事は、褒めてくれないの?」
私「サワラさんは、前からずっと言っていますけど、私の事を一番心配してくれる、優しい子です。頭もいいです。自慢の子ですよ」
サワラ「全然足りないわ。…私も、爪切りってやつを、させてあげてみようかしら」
いわし「つめきりは、ちょっときになるけど、ねむいときなら、なにもかんじない。そこにあるのは、む。」
サワラ「…無?」
いわし「そう。ねむっているときは、たいてい、おいしいものをたべているから、しあわせだ。それか、うぃきぺでぃあさんと、おしゃべりをしている。だから、そのあいだに、つめきりをされても、なにもかんじない。」
サワラ「私はほとんど夢を見ないし、見るとしても、戦時中の夢だわ。爪切りをされたら、空襲だと思うかもしれないから、やっぱりやめておこうかしら」
私「サワラさん、いつの時代に生まれてきたんですか…」
2人とも、シャンプーや爪切りの時だけは人間になってくれないかなぁ、とか思ってしまい、
でも、人間でこんな性格の姉弟がいたら、けっこう大変なんだろうなぁ、と考え直してしまうのでした。
ではでは。